45 身は沈めども忘れぬは

本日も「鉄道唱歌の話」にご乗車いただきありがとうございます。

 

鐵道唱歌 山陽、九州 四五

 

身は沈めども忘れぬは

海より深き君の恩

かたみの御衣を朝每に

さゝげてしぼる袂かな

 

 

みはしづめどもわすれぬは

うみよりふかききみのおん

かたみのぎよいをあさごとに

さゝげてしぼるたもとかな

 

 

太宰府天満宮のご祭神・菅原道真が作った漢詩に「九月十日」というのがあります。

 

-------------------------------

 

九月十日 菅原道真

 

去年今夜侍清涼

秋思詩篇獨斷腸

恩賜御衣今在此

捧持毎日拜餘香

 

----------------------------------

 

去年の今夜 清涼に侍す

秋思の詩篇 獨り斷腸

恩賜の御衣は 今此こに在り

捧持して毎日 餘香を拜す

 

--------------------------------------

 

去年の今夜、わたしは清涼殿で仕えていた。

「秋思」という題でわたしが詩を詠んだこと思い出すと

ただ一人で断腸の思いになる。

このとき賜った御衣は、今もここにある。

毎日これを捧げ持っては、あの時の残り香を拝している。 

 

 

f:id:karibatakurou:20210411114242j:plain

大宰府天満宮の梅園≫

 

道真が大宰府に流される前年のことです。

 

重陽節句の翌日、9月10日に宮中で詩会が開かれました。

そこで道真は醍醐天皇の「秋思という題で詩を作れ」という求めに応じ、見事な漢詩を披露しました。これに感心した天皇は、道真に御衣を下賜しました。

 

そして道真は、この御衣を大宰府まで持っていったのでした。

 

「・・・陛下、あの時の御衣は、今も毎日捧げ持ち、毎日残り香を拝しております。ああ、それにしても、去年の今頃は・・・」

 

華やかな都を追われ、衣食にも事欠く厳しい生活を送っていた道真の心中は、いかばかりだったのでしょうか。

 



 

      みはしずめども
てんになけども  あわれとうじの

 
 

      のりかえ
 
カリバ旅行記
駅弁の話
温泉の話
古事記の話
 

 
 

      名所案内

太宰府天満宮
カリバ旅行記 太宰府天満宮