55 北口いでて走りゆく

本日も「鉄道唱歌の話」にご乗車くださいましてありがとうございます。

 

鐵道唱歌 關西 參宮 南海各線 五五

 

北口いでて走りゆく

南海線の道すがら

窓に親しむ朝風の

深日はこゝよ夢のまに

 

きたぐちいでてはしりゆく

なんかいせんのみちすがら

まどにしたしむあさかぜの

ふけひはこゝよゆめのまに

 

和歌山北口から鉄道唱歌南海線を進んでいきます

鉄道唱歌全5集に収録されている鉄道路線の中で、唯一の私鉄線となっています。当時は「南海鉄道」と称していました。

 

といっても鉄道唱歌の時代(明治33年に初版が出版)、日本の鉄道路線はその多くが私鉄線でした。これらの私鉄線の多くは明治39年の鉄道国有化法から昭和16年の改正陸運統制令までの間に国有化され、現在はJRとなっています。

しかし南海鉄道は国有化を免れ、現存する最古の私鉄路線です。

 

南海本線車窓 紀ノ川≫

 

ただしこの当時、南海鉄道の路線はこの和歌山市駅までは達していませんでした。当時は紀ノ川にかかる鉄橋が完成しておらず、和歌山側の終点は紀ノ川を挟んで対岸にある和歌山北口駅となっていました。

当時、歩行者用の木橋がかかっていたのか渡し舟で連絡していたのかはわかりませんが、和歌山から大阪方面に向かう乗客は紀ノ川を渡って和歌山北口駅から列車に乗っていました。

紀ノ川橋梁が完成し現在の和歌山市駅まで結ばれたのは明治36年のことです。この時、和歌山北口駅は廃止され、あらたに本線上の現在地に紀ノ川駅が開業しました。

 

紀ノ川駅

 

深日駅は昭和19年多奈川線深日町駅の開業とともに廃止されました。現在もホームの跡が残っています

 

≪深日駅跡≫



 

     きたぐちいでて
みかえるあとに   おざきにたてる

 
 

      のりかえ
 
カリバ旅行記
駅弁の話
温泉の話
古事記の話
古代史探訪