本日も「鉄道唱歌の話」にご乗車ありがとうございます。
鐘の音きくと菅公の
詩に作られて觀音寺
佛も知るや千代までも
つきぬ恨の世がたりは
かねのねきくとくわんこうの
しにつくられてくわんのんじ
ほとけもしるやちよまでも
つきぬうらみのよがたりは
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不出門
一從謫落在柴荊
萬死兢兢跼蹟情
都府樓纔看瓦色
觀音寺只聴鐘聲
中懐好逐孤雲去
外物相逢滿月迎
此地雖身無檢繋
何爲寸歩出門行
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不出門
一たび謫落して 柴荊に在りて從り
萬死兢兢たり 跼蹟の情
都府樓は纔かに瓦色を看
觀音寺は只 鐘聲を聴く
中懐は好し 孤雲を逐うて去り
外物相逢うて 滿月迎う
此の地身に 檢繋無しと雖も
何爲れぞ寸歩も 門を出でて行かん
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一たび配流され粗末な家に住んで以来、罪は万死にあたる思いで恐れおののき、ただひたすら謹慎してきた。
都府楼はわずかに瓦の色を眺めるのみ、観音寺も鐘の声を聴くだけである(訪れたこともない)。
心の中はただひとひらの雲を追っていくようだが(都への思いが募るが)、外部にに対してはただ満月のような心を持ちたいと思う(不平を抱かないようにしたいと思う)。
この地では束縛を受けることはないといえども、(左遷された身の上なので)どうして一歩たりとも門の外に出ることができようか。
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≪観世音寺 講堂≫
観世音寺は670年ごろに創建されたとされ、現在は天台宗の寺院となっています。
大宰府の庇護のもと九州の寺院の中心となり「府の大寺」と言われました。
現在の講堂と金堂は江戸時代に再建されたものです。
≪観世音寺 梵鐘≫
菅原道真の詩に詠われた梵鐘は奈良時代の製作で、国宝に指定されています。
都での政争に敗れ、この地に左遷されてきた道真。
大宰府という九州の内政・外交・国防を統括する重要な役所のそばにいながら、なんの権力も与えられず、ただ瓦を見るだけ。
衣食にも事欠き、粗末な屋敷から一歩も出ずに観世音寺の鐘を聴く、道真の心中はいかばかりだったでありましょうか。
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